明るい独白
私には生まれたころから、いつでも、孤島が必要だったが、それを声高に明かすことはなかった。
どこからも誰からも離れてはいけないものなのだ、なにかどこかに属してこそ「人間の生き方」なのだというものが、孤島への希求を秘めごとのように封じてきた。
孤独であろうとなかろうと、孤独を愛そうと忌みきらおうと、それはただの、道。
おのおの生きる景色に、美しさや正しさという基準はどこにもない。
幸せな孤島の住人は、自分で舟を漕ぎ、行きたいところへ赴いて、会いたい人に会いに行く。
お客人から連絡があれば、舟を出して迎えに行く。無遠慮な侵入船には毅然とした態度でいどみ、嵐の日にはじっとのんびり凪を待つ。漂流している旅人を見つけたら、淡々と、寝床と食事を用意して、新しい舟を作りまたは修理し、良い旅をと言って見送る。
そういう明るい孤島の、幸せな住人。
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